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2018-11

組曲「3声の平行カノンによるエチュード」の解説等



前回の記事の続きです。同じ動画も張っておきます。長文なので、興味ない方は
スルー推奨です。主に、個別の曲の禁則違反、問題点等を自分で指摘していったり、
良い所等について書いて行きます。

全体的に、何よりも重視しているのは、「カノンである」事です。先行の旋律を後の旋律が、
定められた度数の中で、最後2小節以外、そっくり同じ形で追いかけるという事が最重要
項目です。それをしないとやはりカノンとは呼べないと思うので。(カノン風とかならありですが)
なおかつ、出来るだけ規則を守りつつ、面白い旋律線、面白い曲になる事を目指しています。
なお、本と書いているのは、色々な対位法の理論書の事です。
小節は、その曲単体で見た時の場所です。


■1.定旋律下+5度(長調)
9小節の定旋律なので、少し短いですが、全体的にはまずまずの出来だと思います。
・3小節目、繋留音、(小節線をまたぐタイ)ですが、2小節連続で出てきます。
あまり気にしない本もありそうですが、本によってはこれを禁止する本もあったと思います。
・5小節目、ソプラノとアルトで一見間接連続8度にも見えそうですが、
これは繋留音を解決前に修飾しただけで、連続とはみなさないと思います。
・6小節目、平達5度っぽく見えますが、ソプラノは順次進行しているので3声以上では
OKとする理論書も多いと思います。ただ、それと同時に3声部が同じ上方向へ進行している
ので、対位法の観点からはあまり良くはないですね。1声部は反行か斜行で
進むのが良いです。人によってはこれをNGとするかもしれません(減点対象)。

■2.定旋律下+5度(長調)
1.の定旋律をソプラノに置いた曲で、全体的にはまずまずの出来だと思います。
・3小節目、旋律が少しを音型の反復を感じさせます。バスなら、ミレドシードシラとなっていて、
ドシが繰り返されている様にも感じます。対位法の課題の旋律は、訓練の為、似た旋律を
避けるのが原則で、人によってはこれはNGとするかもしれません。
・5小節目、アルト-バス間で、一見すると連続5度にも見えそうですが、
これは減5度なので、連続ではなくOKです。
・8小節目、アルトの旋律で4分音符が9つ続きます。
これも本によって見解が分かれる所かと思いますが、4分音符の連続は
7個までにした方が良いという節もあります。人によってここはNGにするかもしれません。

■3.定旋律下+2度(短調)
全体的に、悪くはないですが、繋留音、または小節線をまたがるタイが使われていないのが
マイナスポイントです。別に使わないと駄目という事はないですが、発音のずれが声部の
独立性を高めるという対位法の性質上、繋留音等を使った方が対位法の観点からは
良い出来だと思います。人によってはこれをNGとするかもしれません。
・2小節目、いきなり間接連続8度が出てきます。反行なので少しはましですが、
まだ3声部になっていない状態で、実質2声での間接連続8度と言えるので、
これはNGとする人が多いでしょう。
・3と7小節目、Vの和音の導音を半音下げた和音になっています。この和音をエオリアのVと
呼ぶ本もありますが、対位法では特に禁止されていないと思います。
・旋律のリズムが、小節線を挟んで似た感じになっていて、少し規則性があるように
感じる所があります。
3小節目、バスパート4分音符4つ
5小節目、ソプラノ4分音符4つ
6小節目、ソプラノ付点2分部音符1つ+4部音符1つ
7小節目、ソプラノ4部音符4つ
5小節目と7小節目のリズムが同じになっています。(3小節目も同じリズムが出て来る)
これを禁止している本は少ない気がするのですが、対位法の課題の旋律は、
訓練の為、似た旋律を避けるのが原則で、こういうのをしかるべき指導者に見せると、
NGだったりするので、避けた方が良いでしょう。
・9小節目、IIの和音の基本形が出てきます。短調のIIの和音は減3和音という少し特殊な
形で響きが悪く、恐らくかなりの対位法の本でNGとされています。バスが順次進行していて
この形になっている為か、あまりIIの和音の基本形の悪い響きの感じが強くはないですが、
人によってはこれをNGとするでしょう。

■4.定旋律上+5度(短調)
3.の定旋律をソプラノに置いた曲で、全体的には出来は良い方だと思います。
特に指摘する所は見つかりません。

■5.8度+8度(短調)
8度が一番カノンらしいカノンと言えるでしょうか、今回8度はこの曲でしか使いませんでした。
(後回しにしていたら使うの忘れてたw)実際に作品として、作曲で使用するのは8度(1度)が
一番活用し甲斐がある気がします。この曲は全体的に、大分機能和声からは外れている
感じですね。恐らく全部の曲の中で、一番機能和声っぽさはないかもしれませんが、
対位法の課題という意味では特にどこも問題はなさそうです。
ただ、5小節目~8小節に渡って似たような和音が続くので、少し単調に
感じるかもしれません。(それはそれでありという意見もある)

■6.3度+5度(長調)
全体的に、連続系の違反が多いですが、カノンとしてはまとまっているとは思います。
前半はなんとなく偶成和音を使った曲っぽい感じの響きに感じる気がします。
・5小節目、ソプラノ-バス間において、間接連続8度があります。
・6小節目、ソプラノ-バス間において、間接連続8度があります。
ただし反行だし、4拍目なので、これはOKとする本も多いと思います。
・8小節目、ソプラノ-バス間において、間接連続8度があります。
ただし反行だし、3拍目なので、これはOKとする本も多いと思います。
・9小節目、バスとアルトの間で連続5度が出てきます。連続8度よりかはまだましですが、
これはどうやってもいい訳が効かず、NGでしょう(作品としてならOK)。
多分この組曲全部で一番NG度?が高い所です。
また、9小節目、対位法の課題の終わり方としては見た事が無い形で、これはNGでしょう。
ソプラノがタイを切った後に、同じ音を続けています。これは、前小節のシラソを模倣しようと
いう意図があってやったのですが、課題としては駄目ですね(作曲としてならもちろんOK)。
・9~10小節目、バスの動きがレドシミと、レとミが7度関係になっています。
これはレシミだったらほぼNGですが、レドシミなのでOKとするもいると思います。
ただこれでもNGとする人もいるかもしれません。

■7.4度+7度(長調)
全体的にはまずまずの出来かと思います。ソプラノで少し旋律の跳躍が多い気も
しますが、これはこれでありと言った所でしょうか。
・5小節目、1小節目と同じ形の旋律が出てきます(ソプラノでソーファソ、他声部も同様)。
和声付けが違うので、ぱっと聴くだけだと気付きにくいかもしれませんが、音型の統一を避ける
という対位法の課題の原則からは外れます。人によってはこれをNGとするかもしれません。
・6小節目、ソプラノ-バス間において、間接連続8度があります。間接とは言え、
外声に加え強拍の連続なので、これはNGとする人が多いかもしれません。
・7小節目、ソプラノ-アルト間において、間接連続8度があります。
これは人によってはNGとするかもしれません。
・8小節目、アルト-バス間において、間接連続8度があります。
これも人によってはNGとするかもしれません。

■8.7度+6度(長調)
全体的にはまずまずですが、旋律に順次進行が多く、ソプラノに至っては跳躍が1度しか
出てきません。対位法の基本は順次進行で、一応山あり谷ありの線を描いているので、
個人的にはかろうじて許容範囲かなと思いますが、人によってはNGでしょう。出来るなら
跳躍進行がもう少し欲しい所です。逆に跳躍が多くて順次進行が1度しか出てこなかったら、
まず対位法の課題っぽくならないでしょうけど。
・2小節目、2拍目にV7の和音が出てきます。この組曲ではV7は避けて来ましたが、
この曲と次の曲では使用しています。本来の厳格対位法では使用しない事に
なっている事がほとんどです。
・7小節目、借用和音の一種のvVの和音が出てきます。近親調のみですが、他調への転調
(及びそれに準じる進行)は許可されている本と、許可されていない本があります。
人によってはこれはNGとするかもしれません。
なぜこの和音を使ったかというと、理由は単純で、ソプラノのシb→ミによる増音程進行
を回避する為、シbをシにしたという感じです。もちろん和声学の課題ではないので、
シの導音の限定進行は無視していて、次のVの和音では和声学では原則的には
禁止されている、第3音の重複をしています。
・9小節目、アルトパートで、和音の第3音がなく、少し響きが貧弱な気がします。
(第3音がないと、何の和音なのか確定出来ない)小節線をまたいでの
順次進行による経過音や刺繍音自体は、カノンでは禁止されていないと
思いますが、曲の終止部分に近い部分なので、やはり第3音が欲しい所です。

■9.5度+2度(短調)
V7を使ったり、借用和音を使ったり、割と自由に書いた曲です。この組曲の中で
最も和声を意識して書きました。8分音符も1つの声部辺り2回以上使用していたり、
符点4分音符を使用したりしています。この9曲の中では最もお気に入りだったりします。
・3小節目3拍目の和音(バスは繋留音で入っているので4拍目)ですが、和音の第3音がなく、
ラドミソの短7の和音なのか、ラド#ミソの属7の和音なのかが分かり難いです。前後関係から
属7という事はなんとなく分かりそうですが、第三音なしのソプラノが跳躍して入る、
予備なし平達7度の響きが少し厳しいかもしれません。
課題としてはそもそもV7の和音が通常禁止されているので、NGですね。
まぁ作例を研究していると、たまに連続7度なんていうのがあったりしますが。
(連続7度は和声学でも対位法でもNGではないです。ただ前後関係にもよりますが、
個人的には弾くと少々きつい響きに感じます。出来るなら使いたくない響きです。)
・5小節目は並行調の借用和音(viV7)を使用しています(転調とも取れます)。
7小節目、8小節目も借用和音(vV7、iiV7)を使用しています。いずれの借用和音も、
カノンであることを第一に優先している為、導音や和音の第七は限定進行出来ていません。
・5小節目、ソプラノ-バス間において、間接連続5度があります。間接5度とは言え、
外声に加え強拍の連続なので、これはNGとする人も多いかもしれません。
・7小節目、ソプラノ-バス間において、間接連続8度があります。ただ、2拍目同士だし、
片方は外音の8度なので、許容する人も多いと思います。外声で平行だから
駄目という人もいるかもしれません。
・7小節目と8小節目で、バスの跳躍が少々多いでしょうか。一応7小節目で順次進行
する事も可能だったのですが、それはそれでリズム上の問題が出てきてしまったので、
結局こうしました。人によってはここはNGとするでしょうか。


という感じに、色々問題点等を書いて来ましたが、実際は恐らく、耳だけで聴いたり、
楽譜を見ながら聴くだけだと、ほとんどの人は何処が悪いのか、分からない事が
多いと思います。というか、自分も聴くだけだと分からない部分が多いです^^;
鍵盤で弾くと割と分かりやすいですが、聴くだけで分かったら、少なくとも
自分よりかは対位法に熟達していて、良い耳をしている方でしょう。ただ、
対位法等の訓練によって耳を相当鍛えた人だと、分かる人は分かってしまうと思います。
もしも対位法の技術を向上させたいと思うなら、耳で聞いて判断出来なければ、
客観的に判断する為に、自分で書いた楽譜をよく調べて判断する必要があると思います。


カノンの課題についてですが、致命的な、間接ではない方の連続8度等はまず黙認されないと
思いますが、少しぐらい悪い所があっても、全体として見た時に、
曲として上手く出来ているのなら、多少は目をつぶっても良いという面があるかもしれません。
カノンは普通の対位法よりも難しいし、カノンとして作る事が第一なので、多少は
黙認しても良い気がします。
まぁ厳格にやるという指導者もいると思いますが、これは独学の場合の話ですね。

そもそもとして、特に対位法は本によって、ルールが異なるので、この本ではOK、
この本ではNGという、本によって結果が異なるという事になってきます。
何をOKとして、何をNGとするのか、指導者や、独学の場合は学習者の、
裁量次第といった所でしょうか。ちなみに、対位法のカノンの作例を研究していると、
流石に連続等はほとんど見かけません(だけど無くは無い)が、これはどうなんだろう?
というのはよく見つかったりします。

言うまでもなく、NGだ、駄目だと言っているのは、あくまで技術向上を目的とした、
課題としての曲の事であって、実際の作品ではOKです。というより、何をした所で
実際の曲、作品ではOKでしょう。アドバイスをもらいたい等ならともかく、
作曲者本人がこう書きたいと思って書いた曲に、他人が口出しできる余地は無い気がします。
ただ、対位法を良く分かっていない人が、意味も分からずに規則を破るという事と、
対位法にある程度詳しい人が、分かっているけど規則を無視するという事では、
意味が大きく異なってくると思います(こういう様式の場合)。

という事で(?)、この組曲は、課題的な点も重視しつつ、作品的に書いている、
という感じになっています。課題として見たら多少の問題点があっても、
作品としてはOKで、自分では割と気に入っていたりします。

それでは、長くなりましたが、この曲、この文章が
対位法に興味がある方等の、何かの参考になれば幸いです。
最後まで付き合い頂きありがとうございました。


テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

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Author:メロ重視(旧:SSNULL)
アマチュア作曲家です。
メロディーとハーモニー重視の曲を作っています。良い曲を
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